2018年3月15日

渡辺 忍

 

市民ネットワークの渡辺忍です。会派を代表し、今定例会に市長より提出されました平成30年度千葉市一般会計予算案を初めとする全ての議案について賛成の立場から討論を行います。 
 また、発議第1号・千葉市エンディング検討委員会設置条例の制定については、現状の市における終末期における多様な問題に対して、エンディングサポート事業の必要性を市民とともに考え、千葉市においても検討されるべき重要な事案であることは理解できます。しかし、今回提案されている設置条例では、エンディングを葬儀中心に限定的にとらえており、私たち会派で考えているエンディングサポートは、生きている間に支援をする、例えば相続を含む財産整理や在宅医療における看取りに関する体制整備など、【最後までその人らしく生きるための終活全般】であること、また、千葉市においてすでにエンディングサポート事業は開始しており、調査検討も進められていることから、今後の事業の方向性を見守っていく必要があるものの、本条例による検討委員会の設置の必要性は感じられないことから賛成しかねると判断いたしました。

「議案第6号・平成30年度千葉市一般会計予算」等の組み替えを求める動議については、一部理解できる点はあるものの、意見が異なる部分もあり、賛成することはできません。

 以下、賛成とした議案について、評価できる点や留意していただきたい点について申し上げます。 
最初に、一般議案についてです。

議案第38号・千葉市高原千葉村設置管理条例の廃止についてです。

施設のあり方について検討をした結果、老朽化による維持管理費用の増加が見込まれること、必要性の低下と利用者数の低迷から、千葉市高原千葉村を平成30年度末に廃止することとしたものです。 
高原千葉村は中学校時代に訪れている市民も多いことなど、思い入れのある市民も多くいることから、廃止に至った経緯を市民にわかりやすく説明し、来年度終了までの1年間は思い出の場所として同窓会で訪れてもらうなど、積極的な活用を促すよう市民への周知を要望します。 
また、本施設は中学校において自然教室として活用されております。教育委員会より今後の自然教室開催は別の施設で日程を一日削減して行う予定と伺いました。保護者に対して、自然教室を開催する意義が施設を変えても継続できることの丁寧な説明や、費用面の負担が大幅にかわることの無いよう配慮が必要です。

議案第46号・千葉市市営住宅条例の一部変更について です。

公営住宅法及び同法施行例の一部改正がなされたことに伴い、本条例の所要の改正を行うものです。改正の内容として、単身の入居者が認知症患者等で収入申告等の提供が困難な場合には、市が収入状況を調査・把握し、その収入状況に応じて家賃を定めることができるとしています。今回の改正については、反対するものではありませんが、単身の認知症患者が市営住宅で自立した生活をすることには困難が伴います。福祉部門とも連携を図りながら、当事者の支援にも配慮するよう求めます。

次に新年度予算編成と財政運営についてです。

一般会計予算規模は4,454億円と前年度比39億円増で過去最大規模です。昨年9月の「脱・財政危機」宣言解除後、初の予算編成ではありますが、「主要債務総額の削減」など、引き続き財政健全化に取り組むとともに、千葉市の持続的な発展に繋がる未来への投資として、「都市づくり・地域経済活性化」「子育て」「教育」の分野を中心に、市民生活の向上及び都市の魅力・活力が千葉市の発展に繋がる施策を推進するために予算を配分したとのことです。 
新たに策定する第3次実施計画の初年度として、それぞれの事業費の精査など、しっかりと行われていること、再精査が必要な事業は先送りになっていることなどが、予算編成過程の開示により明らかにされており、納得のできる内容です。 
次期財政健全化プランでも目標となる主要債務総額については前年度見込みより145億円の削減が、また市債残高では全会計で県費負担教職員の委譲による影響を除くと91億円の削減が見込まれるほか、実質公債費比率や将来負担比率も引き続き低減が見込まれるなど、次期プランの目標達成に向け健全化路線の運営を着実に走っていると判断し、評価するものです。

懸念されるのは、平成29年度で大幅に増加した病院事業会計への一般会計からの繰り出し金が引き続き多額であることです。医業収支が悪化し、平成28年度末では累積欠損額は69億と膨らみ、資金不足も発生した病院事業会計ですが、抜本的な経営改革が必要な状況です。来年度には民間事業者、つまり医療系のコンサルタントに経営改善支援業務を委託し、第4期の千葉市立病院改革プランの目標達成に向けて取り組むとのこと。 
ここまで経営状況が悪化したのには海浜病院における心臓血管外科死亡事例の影響による大幅な減収があるものの、今までの改革プランでの過大な目標設定により、医業収支の計画値と実績との間に大幅なかい離が生じたことに起因するものもありました。今後のプラン策定には慎重な対応を強く要望します。 
また、海浜病院の老朽化もあり、今後の両病院の将来について、市立病院のあり方についても議論を進める必要があります。

引き続き財政健全化に取り組み、行政改革を推進すること、また第3次実施計画に位置付けた事業の中でも、千葉市が将来にわたって持続的に発展を遂げていくための施策に重点的な予算配分が行われており、それらの幾つかは、市民ネットワークとしても、求めてきたものであり、平成30年度予算には賛成するものです。

つづいて、各行政ごとに評価すべき点、指摘しておきたい点など申し上げます。

総務行政についてです。

防災対策について、避難所運営委員会の設置は進んできている一方、東日本大震災から7年が経過し、市民の防災に対する関心は薄れてきている部分もあるようにも感じています。 
避難所運営委員会の活動支援としての経費補助や自主防災組織への活動助成が拡充されますが、問題は各団体の活動の中身です。防災ライセンス講座や防災リーダー研修などの受講者の経験が、地域で生かされる仕組みづくりを私たち会派では要望してきましたが、来年度は防災アドバイザーとして派遣するとのことです。今まで作成してきた「男女共同参画の視点で避難所運営を実践するための情報・ヒント集~みんなで考えよう!避難所のこと~」や、「避難所におけるペット対応の手引き」など、がしっかりと実際の避難所運営に活かせる取り組みを期待します。 
被災時に実際に対応できるような避難訓練、避難所立ち上げを行えるよう、地域任せにせず、市が先進例を積極的に周知して活かすなど、今後も継続した行政の支援が必要です。福祉避難室の立ち上げ訓練、ペットの同行避難への準備、避難所での性暴力被害防止のための初動など、どれだけ準備できるかが減災・二次被害の削減に繋がると考えます。さらなる防災への取り組み強化をお願いします。 
また、千葉市地震被害想定調査結果により防災備蓄品整備の量を見直しされたとのことですが、一方で各家庭での備えも必要という認識がどこまで広まっているか、未だ周知が不十分なところもあると考えます。防災備蓄品の中でも食料が増えることは安心である一方、消費期限切れの防災備蓄品の廃棄処分は社会的にも問題視されています。消費期限の迫った備蓄食料を、避難訓練などで活用するよう地域へ促す働きかけや、各家庭でのローリングストックの推進を周知することも併せて要望します。

次に、総合政策行政についてです。

都市アイデンティティの確立について申し上げます。 
平成28年に初めて行われた千葉氏サミットが、来年、第2回が開催されるとのことですが、その効果については疑問が残る部分もあります。共同宣言を行ったことが成果とのことでしたが、各自治体のPRに終始するのではなく、今後、歴史好きの一部の市民だけでなく、いかにたくさんの市民に愛着を持っていただくかが重要です。そのための戦略づくりには市民の方にも入っていただき、進めていくよう求めます。その他、加曾利貝塚、海辺、大賀ハスについて周知啓発する事業も、各区や千葉都市モノレール、道路、景観、公園整備などまちづくりに係る様々な部署が関係します。きちんと旗を振って、一体感を持って事業を進めていくよう要望します。

オリンピック・パラリンピック開催に向けた取り組みの中で、都市ボランティア育成についてです。大会成功に向けたボランティア育成はもちろんのこと、オリパラ終了後も千葉市におけるボランティア文化が定着することを目指して、本年度にチームちばボランティアネットワークが組織されました。これは私たち会派としても長く要望してきました一元化した総合窓口となると、期待しております。ボランティアしたい人が希望した活動にきちんと繋がる仕組みづくりを現在あるボランティア関連団体と、しっかりと連携し構築していくよう求めます。 
現在でもちばぼらのページには国際交流協会ボランティア、市民活動支援センターちばさぽ、社会福祉協議会の千葉市ボランティアセンター、その他にも放課後こども教室ボランティア、大学のボランティアセンターなど様々なボランティア団体の掲載がありますが、マッチングするコーディネーター機能が足りません。市民の社会に貢献したいと願う思いを活かせる千葉市のボランティア体制構築に向けて、全庁的な取り組みを要望します。

パラスポーツの推進についてはパラアスリートによる学校訪問が全小中校で行われるように推進されていくとのことですが、パラスポーツを通して、障がい者理解や共生への意識がはぐくまれるよう、また学校に通う子どもだけでなく地域住民や保護者も巻き込んだ開催を希望します。

次に、保健福祉行政です。

生活困窮者支援事業についてです。3区で設置されている「生活自立・仕事相談センター」ですが、現在単年度契約にて業務委託されております。長く寄り添って支援を行うことが求められる本事業は、本来、同じ事業者にじっくり取り組んでもらうべきものです。以前より随意契約での業務委託を検討するよう求めてきましたが、事業内容が固まっておらず、柔軟な対応をするため、契約途中での仕様変更も考慮する必要があると伺っております。しかし、実際には柔軟な対応を求め、委託事業者が振り回されるような状況になっていないか疑問があります。本来委託すべき相談業務等は、随意契約を検討するよう求めます。 
地域包括ケアシステムの推進において、地域における支えあい活動の育成調整役である生活支援コーディネーターの担う役割は重要です。本年度には各区2名と増員してもなお、地域を回りきれないと伺っており、会派としても増員を要望しておりました。来年度は地域を絞り、中央区でモデル事業としてあんしんケアセンターの担当圏域ごとに1名の計5名を新たに配置することで2階層化するとのこと。地域全体でどのような効果が生まれるか、期待いたします。 
また、地域包括ケアシステムの中核となる定期巡回・随時対応型訪問介護看護及び小規模多機能型居宅介護は足りていないため、来年度に整備する事業者への建設費及び開設準備経費の助成が引き続き行われることを評価します。しかし、市民の在宅介護療養についての理解は進んでおらず、地域密着型サービスの活用が進むよう、市民への更なる周知も必要です。 
発達障害者支援センターの相談が数か月待ちとなっており、人員体制強化の必要性がありました。今回1名増え、6人体制となることで改善が見込まれ評価いたしますが、それでもなお相談体制の改善が必要な状況です。更なる改善を要求します。 
ひきこもり地域支援センターについても、アウトリーチにも対応した引きこもり支援を充実するための支援職員を1名増員し、4人とし、さらにひきこもりサポーターの養成など体制強化をされること評価いたします。しかし、ひきこもりの解決に当たっては、家から出られるようになった後の受け皿、自立に向かうためには段階的な場が必要です。同じような立場の方がお互いの状況を話しコミュニケーションをとる居場所や、社会参加のきっかけとなる体験の場、当事者に寄り添いながら就労を支える中間就労の場などです。支援が切れ目なく続くようさらなる体制強化のためには、連携をする、信頼できるNPOなどの団体を育成、支援することを要望いたします。

次に、市民行政についてです。

防犯カメラに犯罪抑止の効果があるとの実績から、警察と設置場所の調整を行うなど一定の基準の上で設置する自治会の防犯カメラに対し助成が行われることは評価したいと思います。しかし一方で、駅構内や銀行、コンビニなどのカメラと異なり、市民の日常生活の場への設置であることを特に認識すべきです。そのため、プライバシー保護の重要性はきわめて高く、補助金を受けた各自治会で策定された管理規定について、補助金受給の要件に適合した内容であるかの確認や、年度が替わるごとの周知など、市が指導監督をする体制整備の必要があると考えます。 

次に、環境行政です。

臨海部に発生している黒い粉じんについては、多くの市民が被害に悩まされています。私たち会派としても、市や事業者の対策に注目してきましたが、現状は変わっておらず、ベランダが汚れる、子どもの健康が気になるなどの意見が、市民団体や市に寄せられています。さらには蘇我地区における石炭火力発電所の建設計画が着実に進められており、環境アセスメントは、昨年2月の配慮書に続き、今年5月には方法書に対して意見を出す段階に入りました。国でも2030年におけるCO2削減目標の達成が危ういことから、石炭火力の新設計画に対して厳しい意見を出していますが、計画中止には至りません。本市からの計画に対する意見ですが、市民説明会や市に直接寄せられた意見、市長への手紙などで届いた意見、市民団体が行ったアンケート結果などを真摯に受け止めること。さらに、石炭火力発電所の建設計画があることを千葉市自らも市民に知らせ、市民からの声を集める努力をしていただきたい。それを今後の市の意見に十分反映してくださるよう求めます。また、大気汚染対策については、水銀に関する水俣条約の発効を受けて、大気汚染防止法が改正され、水銀排出施設への立ち入り検査が新規の事業となりました。市や事業者による降下ばいじんなどの大気状況調査も継続的におこなわれていますが、粉じんによる被害状況の調査はまだ行われていません。これも千葉市自らが市民へのアンケートなど情報収集をおこなった上で、事業者に対策を求めることを要望します。 
ごみ減量化については、会派としても家庭からでる生ごみのリサイクルについて、資源化の方法や補助制度について広く周知を図り市民意識を高める工夫を要望してきました。今回の新年度に向けての事業を伺い、千葉市として生ごみをどう減量していくのか、方向性がはっきりしない印象です。 
まずは、ごみ削減普及啓発事業として、学校給食残渣再資源化モデル事業が小学校7校を選定して行われることについてです。目的は子どもたちへ環境教育をすることで、家庭での生ごみ発生抑制が期待されるとのことですが、教育委員会に話を伺うと、設置される小学校現場の負担にならないよう留意して事業を進めるといった認識でした。 
以前も小学校に屋外型生ごみ減量処理機を設置し、給食残渣のリサイクルがモデル事業として行われていましたが、平成23年度をもって廃止されています。この時、事業廃止に至った経験は、今回の事業に活かされているでしょうか。前回の事業を廃止した経緯をしっかりと共有し、環境局と教育委員会が協力体制をつくり、そして各家庭や地域を巻き込んでの環境意識の向上に役立てなければ、家庭での生ごみ削減にはつながりません。教育委員会と地域を巻き込んでの事業実施を強く要望いたします。 
更に、生ごみ分別収集特別地区事業が終了します。今までモデルとして生ごみの分別に協力してくださった世帯が、今後も生ごみ減量に取り組めるよう、生ごみ減量処理機等購入費補助事業の周知啓発を行い、また生ごみ減量モニター事業を新たに実施すると伺っております。今まで築いてきた関係性を活かしながら、市の生ごみ減量についての対策を市民参加で検討することを求めます。会派の中では、生ごみを減量して持ち込んだ場合に来年度新たに始まる地域ポイントをもらえる仕組みはどうかという案もでましたので、ご検討いただきたいと思います。

次に、経済行政です。

新たな競輪である250競輪の実施に向けた、(仮称)千葉公園ドームの整備と、これにあわせた新体育館の整備のために国有地部分を取得する議案と、現在の競輪場の除却費用を計上する新年度予算案について意見を述べます。千葉公園ドームは民間事業者による整備が予定されていますが、同じ敷地内の市の施設である新体育館の整備もあわせ、千葉公園やその周辺に大きな変化をもたらす可能性がある事業ですが、その全容についてはまだ明らかではなく、とにかく競輪施設をオリンピック・パラリンピックの年に整備したいとの意図が見えます。多額の事業費を費やして土地を取得し、市の施設を整備することになることからも、市には事業についての 
説明責任があります。千葉公園ドームや新体育館に多くの市民が集まり、まちの賑わいを 
創出できるよう、市民の意見を聞きながら事業をすすめてくださるよう求めます。

千葉市民花火大会開催について、毎年、幕張の浜で8月の第1土曜日に開催されている大会ですが、今年は金曜日に開催予定です。また、ナショナルフットボールセンターの工事に伴い、自由観覧席を幕張メッセ駐車場に設けることになるなど開催方法の変更があるため、例年以上に費用がかかり、昨年に比べると4.5倍の予算が計上されています。今年については開催場所を変えたり、規模を縮小したりすることも検討されるべきではなかったのかと思います。予算も含めて、花火大会の概要について、市民に納得のいく説明ができるよう求めておきます。

グリーンツーリズムの推進について、里山サイクリングの実証実験を行うことになってい 
ます。昨年完成した「千葉市里山サイクリングマップ」を活用して、集客観光の観点から 
事業を展開されるとのことですが、実証実験においては、里山サイクングボランティアの 
育成など、今後、市民も里山地域の活性化に関わることができるような施策展開を検討く 
ださい。

次に、こども未来行政です。

社会的養護を必要とする子どもたちは増加傾向であり、会派としてもさまざまな機会を捉え、里親や特別養子縁組に関して調査したり、発言したりしてきました。新年度予算において、里親委託の着実な推進のため、養育里親のリクルートから里親委託後の支援までを包括的に取り組むことは、昨年8月に発表された新たな社会的養育ビジョンに合わせたスピード感ある対策を会派としても求めてきており、期待するものです。しかし、委託した1つの団体で支援が行き届くのか疑問もあり、今後も里親支援に関しては関係団体を育成する視点で様々な取り組みを進めるよう要望します。さらには、特別養子縁組への積極的な取り組みや、新生児委託を含めて取り組むこと、妊娠期からの相談に乗れる体制を引き続き求めます。

一時保護所の環境改善については会派としても求めてきており、増室について歓迎するものですが、保護・愛着形成を重視する必要のある乳幼児と、自我が目覚めた学童期・思春期の子どもとでは、必要とされる環境・支援内容が異なります。無断外出する児童が多くいることからも更なる環境改善、及び精神的な安定を確保できるそれぞれの子どもに会わせた施設運営を求めます。 
ひとり親家庭への支援として、養育費相談が新設されます。養育費の確保を支援したり、ひとり親家庭の自立を促進するために、弁護士による離婚前後の養育費の取り決めなどの法律相談が各区において3名ずつ3回実施予定とのこと。ひとり親家庭で養育費の取り決めができているのが42.9%との実情から考えるとあまりにも少ない上に、平日の日中のみの相談では、どれほど効果があるのか少々疑問です。実施を開始することを大いに評価するものではありますが、改善を見据えて実施を進めるよう要望します。

次に子どもルーム整備運営について

緊急3か年対策を立て、受け入れ拡大に向けて尽力されていることは評価いたします。 
しかし、近年の大規模化したルーム運営や保育の質についての問題は山積みであり、子どもたちの生活の場としてふさわしいとは言い難く、子どもルームの運営を社会福祉協議会ですべて担う社会情勢ではなくなったことは事実です。本年度より市内で長く取り組まれてきたNPO団体に対しての補助金が交付され、来年度からは新たに民間事業者への委託も始まります。千葉市子どもルームとして今まで守り続けてきた、生活と遊びの両面を担う場を運営していけるか、民間事業者での運営状況については、注視していきたいと思います。

教育行政についてです。

学校現場における支援が必要な子どもたちに対応できる体制として、スクールカウンセラー、特別支援教育指導員・介助員の配置拡充を評価いたします。 
また、今回は残念ながら増員には至りませんでしたが、福祉的な視点で解決しなければならない困難を抱えるこどもが増えているなか、スクールソーシャルワーカーに期待される役割は大きくなってきています。現在、6人体制となり、学校への認知度も少しずつ上がってきていると考えます。経験値が必要な業務であり、急な増員は難しいことは理解しますが、現在教育委員会教育支援課、教育センター及び養護教育センターに配置されているスクールソーシャルワーカーでは、子どもたちが自ら支援を求めることは難しいです。できるだけ早い時期に現場である学校にスクールソーシャルワーカーを直接配置し、各学校へのアウトリーチや助けを必要としている子どもへの働きかけがしやすくなるよう要望いたします。

公民館についてです。

来年度より指定管理者制度が導入されます。社会教育主事による公民館自主企画のさらなる充実に期待するものです。公民館運営の実施計画や運営報告について審査する「公民館運営審議会」は引き続き現在と同様の制度で運用するとのことでした。今までの公民館運営審議会のあり方については、委員による審議が十分でない地域もあったと感じています。今後は、委員が本来あるべき役割を果たせるように、社会教育における公民館の果たす役割について、事前説明や研修を行う必要があると考えます。ぜひご検討ください。

放課後子ども教室についてです。

稲浜小学校における子どもルームの一体型運営については、保護者が仕事をしているかどうかにかかわらず、子どもたちが同じ環境で放課後を過ごせる場としてモデル的に行われました。今後の拡大に向けては、プログラム重視ではなく、子どもたちを暖かく見守る大人の目があること、そして子どもたちが主体的に自分たちの過ごし方を選び安心して過ごす環境であることを重視することを求めます。もちろん、体験が子どもたちの人生を豊かにしますので、プログラム体験については、頻度や内容など、子どもたちの意見を聞きながら計画し、過度のプログラム実施により子どもたちやスタッフが疲弊しないよう配慮が必要です。現状の放課後子ども教室で行っているような週1回程度の体験でも子どもたちは十分楽しめていると感じていますし、むしろ自由遊びが人気だという声も聞きます。 
常勤が居る一体型ルームは、ほぼ毎日プログラムがあり、地域や保護者で週1回程度運営する放課後子ども教室では、ほぼボランティアで運営をしているという不公平な状態が続くようでは、頑張っているコーディネーターのモチベーションを下げることにもつながるのではないでしょうか。

さらに、総合コーディネーターによる活動支援により行われてきた10校を15校へ拡大することについて、運営を行う実行委員会の負担軽減が期待されますが、モデル校での実施課題として、実施日数増加によるスタッフの負担増が挙げられており、運営方法にはさらなる改善が必要です。 
それぞれの地域特性や学校規模により、運営に必要とされる人員構成や人数も違ってきます。地域やPTAの活動がとても元気な地域と、人員不足で運営に支障をきたしている地域では、今後の放課後の子どもたちの居場所運営方法も異なってくると考え、柔軟に対応する必要があります。

本年度は総合コーディネーターによる活動支援を受けた学校の中でも、地域住民主体、PTA主体、NPO主体など様々な運営を試みたそうです。稲浜小学校における、子どもルームと一体的に運営するモデルと合わせ、各運営モデルの評価を行いつつ、来年度には(仮称)放課後子どもプランを策定するとのこと、期待いたします。

最後にプラン策定にあたり、子ども未来局、教育委員会、市民局も関わり、各担当業務を中心に検討するのではなく、「千葉市の子ども」「地域の子ども」として配慮してほしいことを申し上げます。 
高学年ルームについて通常の子どもルームとの運営上の違いがここまで表面化している状況では、高学年が子どもルームで過ごすことが最良なのかという点については、本格的に見直す時期です。高学年ルームが子どもたちにとって健全な居場所であるのか、むしろ年齢に応じた自立に向けた、地域での子どもたちの過ごし方を考えることを停滞させているのではないかと、懸念します。 
地域と連携した放課後子ども教室が、もし【毎日】開催されていれば、地域に児童館の無い千葉市において、子どもたちの自由・安全な居場所の確保につながり、待機児童もここまで広がらないのではないでしょうか。

高学年ルームの在り方について、再検討を行うこと、放課後施策を総合的に整理し、すべての子どもたちに最良の放課後の居場所を提供できるように関係部局でしっかりと連携をして取り組むこと、地域性に合わせ柔軟に取り組むことを要望します。 
さらに、学校内で行うプログラムに関しては大学・NPOや個人など、地域人材によるプログラム提供や、千葉市科学館、美術館などの公的施設からの派遣、企業のCSRでの取り組みなどによる無料提供などに限定し、企業や塾などへの安易な部屋貸しとならないよう、有料プログラムの導入については、全児童対象の居場所として運営する事業として、注意が必要です。 
子どもがより主体的に居場所を選び、遊びや学びを選べること、大人の事情による管理ではなく、子どもの視点に立った支援・見守りのできる大人がいる【子ども】中心の居場所運営を目指した今後のプラン作成を要望します。

以上、評価する点や、指摘要望などを申し上げましたが、平成30年度予算案は財政へ与える影響に十分配慮しつつ、新規や拡充すべき事業等、必要な事業がおおむね盛り込まれているものと評価いたします。 
今後も財政の健全化と必要な事業費の確保の両立、情報公開による透明性の確保、当事者の声を積極的に聞き、施策に生かすこと、また市民参加と協働を進める市政運営を要望いたしまして、市民ネットワークの討論を終わります。ご清聴ありがとうございました。