無所属 会派、未来立憲民主ちばの渡辺忍です。通告に従い一般質問を行います。

 

まず初めに

 

持続可能な農業の推進について1

 

経営の視点で持続可能を考えると、農家が生産性を上げること、継承者や新規就農者への支援が必要です。

 

2年前に同様のテーマで質問した際には、農地転用や耕作放棄地の増大により、千葉市の農地が減少していることから、新規就農者支援の内容と利用状況、農業参入支援メニューの活用状況、ソーラーシェアリングの推進などについて伺いました。

 その後の、農業者への補助制度や細やかな販売促進の施策、耕作放棄地対策を評価しておりますが、現在の状況について確認させていただきます。

 

一方、最近は強い方向性として、気候変動による地球環境の悪化を減らすために環境保全型農業の推進が掲げられています。

昨年、国において策定された「みどりの食料システム戦略」を踏まえ、有機農業の推進についても質問を行います。

 

1) 農業を継続するための施策

 代表質疑において、新規就農希望者への農地情報提供や意欲ある担い手が農地拡大できるよう農地集約・集積をデジタル化による見える化により、農地のマッチングに向けた取組みを進めていること、伺いました。

 農業委員会の制度が変わり、農地集積・集約が進みマッチングに対する支援も手厚くなり、新規就農者に農地が見つからないことはないと伺いましたが、農地拡大の希望には現時点では応えきれていません。

 早急な農地管理のデジタル化推進を求めます。

 

 また、農政センターについては、就農者からり添った支援や技術提供がされていないとの声がありますが、技術職の新たな配置など機能拡充に向けて再整備の中で検討されていますので見守りたいと思います。

 

 

 そこで伺います。

質問1-1

   2019年度から始まった補助事業、農業参入支援メニューについて前回伺いましたが、

2年経ちましたので 利用状況とその後の拡充や見直しについてお示しください。

 答弁 

(経済農政局農政部農地活用推進推進課)

 

補助制度の利用状況については、

  • 法人などにまとまった農地を提供する所有者に協力金を支給する「農地銀行活動支援事業」を6法人が、
  • 栽培施設整備や農業用機械の導入を支援する「農業生産力強化支援事業」を7法人が

活用しています。

 

 その後の補助制度の拡充や見直しについては、

農産物の高付加価値化や農商工連携を加速させるため、既存の「農業生産力強化支援事業」に農業法人と流通・加工事業者が、連携してグループで参入した場合に、加工・流通機械設備の導入支援を新たに加えるとともに、市内の農地で5年以上賃借権を設定する場合に農地の賃借料を補助する「農業法人グループ参入促進事業」を新設したところです。

 引き続き、本市農業のポテンシャルを活かした競争力を有する多様な担い手の確保・育成に向け、支援策を検討して参ります。

 要 望
 法人向けの補助では、新規就農からのステップアップとなるよう丁寧に寄り添った新規就農者への支援が必要です。
 新規就農者が継続して農業従事するためには農地だけでなく住居支援も必要との声があり、今後の新たな支援についてもご検討ください。

 また、今回は質問いたしませんが、ソーラーシェアリングの推進については、小田原市のかなごてファームを視察し、技術提供は千葉市の事業者が行ったと伺いました。
 営農型太陽光発電設備の技術も向上しており、千葉から発祥したソーラーシェアリングの市内での事業促進について、千葉市の売りとする戦略の検討を進めていただくよう要望します。  

  

次に、

(2)有機農業の推進について

スライド1
スライド1

 農林水産省は、2021年5月に「みどりの食料システム戦略」を策定し、生産力向上と持続性の両立に向け、2050年までに目指す姿として、農林水産業のCO2のゼロエミッション化の実現や事業系食品ロスの最小化など、食品産業、林野、水産なども含む14の目標を設定しています。

 その中で、持続的な生産体系の構築に向け、化学肥料の使用量の30%低減や、有機農業の取組面積の割合を耕地面積の25%に拡大することを目指すなどとしました。

 

 全国的にも自然栽培、有機栽培への関心は高まってますが、スライド1の通り世界のオーガニック食品の市場はここ約20年で10倍以上と発展性のある市場です。

 

 今後千葉市でも国の方針に合わせた取組みを進めるため、有機農家の農地管理状況について、正確に把握した上で、千葉市としての目標を定めた計画を策定する必要があります。

 

 

 そこで伺います。

質問1-2

   2019 千葉市の有機農業の実施状況と推進についての考え方、今後の取り組み内容と進め方について伺います。  

 答弁 

(経済農政局農政部農業生産振興課)

 

 市内農業者の情報や新規就農者の取組状況から、現在、市内では17人が有機農業に取り組んでいると把握しておりますが、詳細な実態調査は行っておりません。

 一方で、有機農業の推進については、国の「みどりの食料システム戦略」が示す、中長期的な「目指す姿と取組方向」を見据え、本市の農業者の状況、また気候や立地などの特性を踏まえて研究し、対応を図る必要があると考えております。

 農政センターのリニューアル検討委員会の場でも、農業者から「有機農業の基礎研究や、化学合成農薬・化学肥料を用いる通常の農業との比較試験を実施してほしい」、また「有機農業推進の方向性は理解できるが、実際に生産現場で取り組むのは難しい」などのご意見をいただいたところであります。

 今後の取組みについては、こうしたご意見も踏まえ、農政センターに有機ほ場を設置し、市内農業者が新たに有機農業に取り組む際の、知見や技術の集積を図るとともに、国や千葉県の動向把握や、市内の有機農業の実態調査を行って参ります。

 要 望
  新規就農者が有機農業に取り組む際、また後継者支援が有機農業への転換をおこなう際など、土壌管理、有機肥料への補助など有機農業推進のための積極的な支援を求めます。
 農政センターでの有機農業に関する技術集積を期待しますが、先端技術の活用で水稲スマートオーガニック栽培を進める木更津市や、
2014年から有機米産地化に取り組むいすみ市など、先進市との技術連携などもご検討ください。    

  

次に

(3)有機農産物の学校給食への導入について

  有機農業の推進のため、有機農産物が選択され、消費されていく循環として「オーガニック給食」が注目されています。

スライド2
スライド2

 いすみ市ではスライド2のように、学校給食における有機米の使用は初年度はわずか4tの導入で、4年目で100%有機化されました。

 食育、有機農産物の消費拡大、有機農産物の生産拡大、地域のイメージの向上につながり、さらには持続可能性、循環型社会への転換を促進しました。

スライド3
スライド3

また、こちらスライド3のように、有機米の生産農家がわずか3件のところから、学校給食により使用量が増すとともに有機米生産農家も増え続け、今後は保育所給食への導入も検討していると伺っています。

 

給食費の値上げは一切行わず有機米と学校給食米の基準としてきたフサコガネの差額を一般財源で予算措置し、有機野菜については購入費そのものを一般財源で予算措置してきたそうです。そこで伺います。

 

市長マニフェストでも、学校給食の項目の中で有機農産物の導入について検討すると示されております。

質問1-3

   有機農産物の導入について、来年度の実施に向けた現在の検討状況と来年度の取り組み内容についてお示しください。  

 答弁 

(教育委員会事務局学校教育部保健体育課)

(経済農政局農政部農政課)

 

 学校給食への有機農産物の導入を検討する中で、大量かつ安価な有機農産物の調達や地産地消の取組みとの整合性の確保などの課題があると認識しております。

 このため、来年度についてはモデル事業として、小学校1校において有機農産物を活用した給食の提供を行うとともに、生産者による出張授業を取り入れるなど、関係部局と連携し、有機栽培の良さを伝える取組みについて検討を進めております。

 千葉市でも、学校給食に有機農産物の導入を本格的に進めるには、

学校側の受け入れ体制づくりと、いすみ市のような有機農業推進と連動した学校給食への財源確保が必要です。

 

 国も学校給食との連携は有効な手段であるとして、「有機農業産地づくり推進事業」では、有機農産物を試行的に学校給食に導入する際の、関係者間の打合せ経費や試行導入の際の原材料費なども支援対象としており、このような取組を通じ、現場の課題抽出や対応策の検討、体制づくりが進むよう積極的に応援すると示しています。

 

 来年度のモデル的な有機食材の導入では、現行の給食の範囲内で行う第一歩のみとなっています。

 さらに拡大して予算確保までモデル事業として行わなくては、問題点が見える検証となりません。

 

そこで最後は市の方針を伺います。

 

 有機農業推進はまちづくりにつながります。

 環境保全、食の安全だけでなく、千葉市は都市と農地が近いことで今までも地産地消を推進して学校給食においても市内産の米や野菜を使用してきました。

 今、化学肥料やタネの独占が問題とされており、環境保全型農業への転換は急務です。

 オーガニック給食への転換が大きく進む世界の情勢からも取り残されている現状があります。

今年度はコメの価格が生産原価を割り込むほど下落したと伺っており、化学肥料の高騰に影響を受ける慣行農業の農家にとっても、有機化への検討が進むタイミングではないでしょうか。

 

こんな時だからこそ、有機米を一定以上の価格で学校給食用に買い取ることで、安定消費となり、未来の千葉市を支える子どもたちの学校給食の有機化こそが有効と考えます。

いすみ市も、木更津市も、市長のリーダーシップでおおきく有機農業が前進しています。

 

 また、県内の都市自治体と農村自治体の連携による生産支援、技術支援体制を組むことも視野に入れて欲しいと思います。

 都市部の千葉市として学校給食の有機化は県内全体にとっても、環境を守り、地域産業を支え、農業者や地域の市民県民を守ることに繋がるのではないでしょうか。

 

 学校給食で有機食品を導入するためには、品目、供給量、生産調整や調理方法など、様々な調整が必要です。地域の協議会を発足させて、農業者と学校給食関係者、消費者との現状共有等から取組を開始する必要があります。

 

 いすみ市や木更津市が給食へ有機農産物を導入する方向性を定めたように、県市連携、局を超えた連携、市民への有機食材の消費喚起等、市長にぜひリーダーシップをとっていただきたいです。

 

そこで伺います。

質問1-4

 有機農業を一歩進めるためにも庁内横断的に取り組み、官民連携のできる協議会の発足など一歩進める取り組みを求めますがご見解を伺います。

 答弁 

(経済農政局農政部農政課)

(教育委員会事務局学校教育部保健体育課)

(経済農政局農政部農業生産振興課)

 

 平成10年から農政部と教育委員会は、若葉区の秋冬(しゅうとう)ニンジン、緑区のコマツナ、花見川区のキャベツなど、市内産農産物の学校給食への導入について連携して取り組んでおり、地産地消については一定の理解が進んできたものと考えております。

 一方、国の「みどりの食料システム戦略」では、中長期的な観点から、生産や消費などの各段階における環境負荷軽減の取組みを求めており、その中で、2050年までに耕地面積に占める有機農業の割合を25%に拡大することを目指す方向が示されております。

 こうしたことから、本市においても近隣のいすみ市での事例を参考に、これまで地道に進めてきた地産地消の取組みを踏まえて、生産者と消費者双方の理解を得ながら、学校給食に有機農産物をモデル的に活用することから取り組んで参りたいと考えております。

 学校給食への有機食材の導入を本格的に行うには、強い推進のメッセージが必要です。第3子の給食費無償化には4億ほどの予算が活用されております。

 すべての子どもたちの食に対応する有機農産物の導入は農業推進にも環境保全にもつながります。

 千葉市らしい有機農業の進め方、給食の有機化に取り組むことを求めて、次の質問に移ります。

 

 

ケアリーバーについて2

 

 ケアリーバーとは様々な事情で児童養護施設や里親家庭など、社会的養護の下で育ったあとにケアを離れた人の意味です。

 国において昨年、初めて社会的養護を巣立った子たちの全国調査が行われ、20213月に公表され、多くのメディアに取り上げられました。

 

 5人に一人が施設を出た後に赤字生活に陥っていることや、働きながらの学びの状況の割合が多いなど、厳しさは見えるものの、ケア者とのつながりがその後の人生のサポートに繋がっているポジティブな結果もみえ、社会的養護の子どもたちへの支援が充実してきていることを感じます。

スライド4
スライド4

こちらのスライド4のとおり、

 

直近1年間における巣立った施設等との連絡頻度のうち

  • もっとも多い割合が2~3か月に1回が27.2
  • 1か月に1回以上が20.7
  • 半年に1回以上が18.8

となっていることや

スライド5
スライド5

 施設等との連絡機会の充足感は、スライド5の通り、

  • 23か月に1回以上の連絡頻度がちょうどよいと思う人数が多い

状況です。そのほかにも

  • 1回以上のやりとりが多いのが里親家庭(27.9%)
  • ファミリーホーム(27%)

と支援先による相談のしやすさにも差が出ていることなどが分かりました。

 

 一方、配布されたのが対象者の35%、施設などが案内できない理由としてあげているのが住所・連絡先不明。

 配布されなかった65%のうち6割、つまり全体の約40%の若者が巣立ち後5年以内に施設などと連絡がつかなくなる、ということだと指摘されております。

 

 また、調査で対象とさえならなかった社会的養護につながらなかった家庭復帰の子どもたちのその後については、不明であるという問題点が指摘されています。

 回答できているのはケアリーバーの中でも比較的順調な社会生活を送っていて、「施設とつながりがある」「生活が比較的安定した」模範的な回答者が多くなったという可能性も否定できません。

 

 

(1)千葉市のケアリーバーについて

質問2-1

 千葉市におけるケアリーバーの実態と支援についての認識をお示しください。

 答弁 

(こども未来局こども未来部児童相談所)

 

 今年度、児童養護施設やファミリーホーム等から、高校卒業予定の子どもは12人おり、8人が進学、4人が就職の予定となっております。

 そのうち措置解除予定であるケアリーバーは8人になります。

 卒業後の支援として、奨学金制度を活用することやアフターケア事業などにより、子どもの進路に応じた生活プランを作成しているところですが、今後も、子どもの意向を重視しつつ、実態にあわせた支援を行っていく必要があると考えております。  

質問2-2

 H23より措置延長の積極活用がうたわれています。

 千葉市における措置延長の人数及び自立援助ホーム等で、ケアリーバーとならず支援を受けることができている子どもたちの状況についてお示しください。

 答弁 

(こども未来局こども未来部児童相談所)

 

 今年度措置延長となる子どもは4人おり、専門学校や大学への進学予定となっております。

 また、現在、措置変更により、児童養護施設から自立援助ホームに5人が入所しております。

 要 望
   今年度の人数をご答弁いただきましたが、これまでの状況は追えていないと伺いました。
 今後、千葉市として措置解除後の生活実態を各児童養護施設や児童家庭支援センターでのアフターケアの取り組み状況等から把握するために、各所にアフターケアに関われる人員を配置することが課題です。
 そのうえで千葉市ならではのアフターケアを模索し、措置延長、自立援助ホームへの措置変更、ひとり暮らしでのアフターケア事業所での地域支援の活用等、こどものニーズにあったアフターケアを選択的に使えるよう、官民連携で取り組むことを求めます。   

(2)退所児童等アフターケア事業について

質問2-3

 千葉市では退所児童等アフターケア事業に取り組んでいますが、対象者と実施内容と効果、今後の取り組みについてお示しください。

 答弁 

(こども未来局こども未来部こども家庭支援課)

 

 措置解除された子どものうち、自立のための支援を継続して行うことが適当と判断した場合は、民間賃貸住宅等で生活する際の居住費支援や生活費支援、県と共同で実施している生活相談など、自立に向けた必要な支援を実施しており、

令和2年度は、居住費支援と生活費支援が各1件、生活相談が19件となっております。

 

 本事業は、措置解除後の仕事や学業の継続をサポートすることや、社会に出た後の不安を取り除き、将来の進路や生活設計を考える機会を提供するなど、社会的自立の促進に効果があるものと認識しております。

 令和4年度は、新たに支援全体を統括する支援コーディネーターを配置し、対象者への具体的な支援内容、方法を定めた継続支援計画の作成を行うなど、引き続き、自立に向けた効果的な支援を実施して参ります。

 本年度においても居住費支援など3件の見込みがあるとも伺っており、年々相談件数、支援内容が拡充されており、認知が広がっていることは評価するところです。

 今後も持続可能な事業となるよう必要な予算措置を求めます。

質問2-4

 アフターケア事業に必要な時に繋がるためには、対象者への周知が必要と考えます。

現在の周知方法と自立前の準備について伺います。

 答弁 

(こども未来局こども未来部こども家庭支援課)

(こども未来局こども未来部児童相談所)

 

 児童養護施設等へ事業内容の説明を行い、退所後の支援として積極的な活用を呼び掛けているほか、児童相談所からも入所児童に案内を行っており、退所後の自立生活の不安や悩みの相談先として、相談窓口の周知を行っています。

 

 なお、子ども自身に支援を受けることの必要性を意識付けすることや、卒業前から支援事業者との関係性を構築することが重要と考え、子どもと児童相談所の面談の場などでアフターケア事業者と顔合わせを行うことを検討しております。

 

これからも施設と連携をとり、退所前のリービングケアを丁寧に行うことを求めます。

 

質問2-5

 自立に向けた準備は施設等にいる適切な時期に行う必要があります。

 こどもの自己決定を尊重した進学や就労等その子にとって必要な自立支援が重要であり、当事者自身の選択肢を広げるために、里親や施設での実施を市が支援することが大切です。

 自立支援計画をすべての児童に策定するための現状と課題についてお示しください。

 答弁 

(こども未来局こども未来部児童相談所)

 

 自立支援計画は、全ての児童に対し、児童養護施設や乳児院、里親が児童相談所とともに、入所時に策定された援助指針を基にして毎年度策定しております。

 計画の策定は、現状では、児童養護施設等が作成した内容を提示し、子どもがそれに同意するスキームになっておりますが、子どもの意志を尊重した支援計画を策定するべきであると考えており、今後、十分な情報提供や適切な意見聴取を行った上で、支援計画を策定して参ります。

 要 望
   里親やファミリーホームへ措置された児童の自立支援計画が毎年更新されていないと伺っています。
 里親との関係性も様々であり、児童それぞれに合った自立支援をするために、里親だけで悩むことの無いよう、フォスタリング機関や児童相談所が適切に支援することを求めます。
 

(3)ケアリーバーになれなかった困難を抱えた若者たちへ

 アフターケア事業は現在ケアリーバーだけが対象となっていると伺いました。

 昨年度全国の児童相談所が対応した虐待相談件数は20万件、そのうち一時保護になった件数は27千件、その後施設や里親の元で暮らすケースは43千件ほどで大部分の子どもたちは家庭で過ごし続けています。

 千葉市においては、昨年度、一時保護された後、約65%が家庭復帰となっているとのことです。

 要 望
   一時保護されたが家庭復帰が適当とされ、家庭で引き続き虐待を受けていた例、施設へ措置されたものの中学生年齢で家庭復帰したそののちに自死した例などの話も多く、家庭復帰後に苦しむ多くの若者の支援が必要です。
 アフターケア事業の対象者はケアリーバーだけではなく、困難を抱えた若者であれば対象とできるよう国への制度拡充の働きかけが必要と考えます。  

 また、自立援助ホームは入所待ちの状況であり、県内全体での需給状況を共有し、積極的な設置に向けた支援を県市で行うよう求めます。  
 先日、児童養護施設や里親家庭で育つ若者の自立支援に関し、原則18歳までとなっている年齢上限の撤廃が閣議決定されました。

 また、「虐待を受けた人たちへの長期的な心のケア」を求めたネット署名が行われ昨年国へ提出されています。
 今後、国の動向を見定めながら千葉市でも自立支援を行う期間の社会的養護の適用やアフターケア事業などにおける長期的な心のケアへの対応を求めておきます。  

 次に、昨年第1回定例会で「困難を抱える若者への支援」に関して質問を行いましたが、その後の状況について伺います。

 

 

質問2-6

 生浜高校でモデル実施した高校内居場所カフェの取り組みの実施報告とその後についてお示しください。

 答弁 

(こども未来局こども未来部児童相談所)

 

 昨年度、千葉市・大学等共同研究事業として淑徳大学と共同で行った、高校と連携した校内の居場所に関する研究では、他の自治体での先進事例の調査や学生へのアンケート調査などを行ったほか、コロナ禍のため、「校内居場所カフェ」の試行的な実施はできませんでしたが、その代わりとして、オンラインによるリモート形式での相談会を開催しました。

 共同研究後に提出された報告書では、「校内居場所カフェ」の実施を検討する高校に対して、協力団体や連携団体の紹介・斡旋を行う体制の構築の必要性などについて、本市に提言がなされました。

 そのため、今年度は、千葉市等に所在する私立の大学や短期大学で構成されている「ちば産学官連携プラットフォーム」や協力団体と連携し、大学生がスタッフとして参加する「校内居場所カフェ」を県立生浜高校で複数回開催しており、今後も引き続き、各団体との連携など支援体制の構築について検討して参ります。

 要 望
   スタッフに年齢が近い大学生の配置について取り組まれたこと、評価いたします。
 今後、引き続き、千葉市として若者支援や福祉施策へ繋げられるよう、福祉部局と連携した積極的な体制整備に向けた関わりを求めます。

 市内障がい者基幹相談支援センターより、千葉市の若者への支援体制や地域資源がわからないと相談がありました。
 子どもたちへの支援は子どもナビゲーターやなどの支援が認知されてきましたが、若者への支援には何があるかわからないとのことでした。

 現在、子ども・若者育成支援に関する関係者が連携する千葉市子ども・若者支援協議会があります。
年一回の代表者会議は残念ながら昨年度に引き続き、文書開催であったとのことです。

質問2-7

 今年度における協議会の実施状況と、若者の総合相談窓口であるLINKの相談実績と課題についてお示しください。

 答弁 

(こども未来局こども未来部健全育成課)

 

 千葉市子ども・若者支援協議会については、関係機関が連携した主な取組みとして、各機関において個別の相談に直接関わる担当者等で構成する「個別ケース検討会議」があり、今年度はこれまで10回開催し、不登校やひきこもり、家庭内の問題など、15件の具体的な相談事例に対する、支援や連携方法について協議を行いました。

 協議会については、33の各分野の専門機関が参画しておりますが、感染症の影響により対面による会議開催が困難となっていることが課題であり、実務者会議等についても、テーマ別に開催するなど、効果的な開催方法を検討しているところです。

 

 また、千葉市子ども・若者総合相談センター「Link」については、30代までの子どもや若者の相談を2,181件受け付けており、令和4年1月時点で、昨年度の相談件数を上回っている状況です。

 Linkにおける課題については、相談件数が少ない地域がありますが、潜在的な需要はあるものと考えており、大型商業施設等で実施する、周知活動を兼ねた出張相談会等の取組みを引き続き進めて参ります。

 

 今回ご相談いただいた障がい者基幹相談支援センターや高校内居場所カフェの運営者などに、LINKを若者支援の相談窓口として認識してもらうことが重要です。

 また、繋いだ先が手を放さずに見てくれているか、相談対応が若者にとって十分でない場合には、LINKへ再度戻り、あきらめずに支援していく体制があるか、たらいまわしにしないための取り組み強化をご検討ください。

 

質問2-8

 「ちば子ども若者アフターケアネットワーク」が昨年立ち上がり、支援情報の集約や支援者が繋がる拠点を目指すとしています。

 また「NPOハイティーンズサポートちば」は高校を拠点としたカフェの運営やフードパントリーなどの支援、個別の相談業務に向けての体制整備など行っています。

 

このようなNPOとの連携について、LINKとして見解を伺います。

 答弁 

(こども未来局こども未来部健全育成課)

 

 Linkでは、相談者からの電話や来所及び訪問による面談など、相談者の要望に沿った方法により、相談を受け付けています。

 両NPO法人との連携については、Linkへの相談の要望があった際には、電話や来所による相談のほか、出張相談会などを行うことが可能であると考えております。

 要 望
   子どもたちが相談に行きやすい体制を整えるためには、民間の活用は大事です。 行政色が強い相談機関ではなく、より行きやすい場所で相談が自然に行える関係性を作るための総合的な取り組みを行政が支えることが大事です。   

 子ども未来局だけでなく、市全体として若者支援の中でSOSをどうキャッチして支援につなぐのか、制度のはざまに落ちてしまいがちな若者支援をNPOなどの民間との積極的な個別連携の機会を増やすことを要望します。   

 

 

困難を抱える妊産婦の支援について3

 

 これまで、妊娠から育児までの切れ目ない支援に関わる一般質問を継続的に行ってきました。

 今回は、より困難を抱える妊産婦について伺います。

困難を抱える妊婦について

スライド6
スライド6

 妊婦のうち、特定妊婦、社会的ハイリスク妊婦などの支援の必要な妊婦の推移は、スライド6の通り、出生数が減少する中でもほぼ横ばい又は増加となっており、コロナ禍における孤立化はますます心配な状況となっております。

質問3-1

  困難を抱える妊婦をどのようにとらえ、支援決定を行っていますか?

 答弁 

(保健福祉局健康福祉部健康支援課)

 

 母子健康包括支援センターにおいて、妊娠届提出後に、全ての妊婦に対する妊娠中から出産、子育て期までの計画を立てておりますが、妊娠届が提出された際の届け出内容や、アンケー トの記載内容及び面接での聞き取り内容をもとにアセスメントを行い、特定妊婦や社会的ハイリスク妊婦 を把握しております。 計画内容が、一人ひとりに寄り添った支援につながるよう、必要に応じて関係者会議を開催し、様々な関係者の役割分担等を確認しながら支援を決定しております。

 特定妊婦と指定されることで、要保護児童対策地域協議会での管理となり母子保健の面だけでなく、DV防止や児童養護の視点も加わり、多面的で継続的な支援を行うことに繋がります。

質問3-2

 特定妊婦と社会的ハイリスク妊婦の区別はどのように行っているのか、現状と課題について伺います。

 答弁 

(保健福祉局健康福祉部健康支援課)

 

特定妊婦 は、 予期せぬ妊娠、若年の妊娠、精神疾患、支援者の不在などの妊婦に関する情報や、妊婦健診を契機に医療機関から提供された情報等から、出産後の養育について出産前から支援を行うことが特に必要と判断した妊婦 としており、要保護児童対策地域協議会における支援対象と位置付けております。

 また、社会的ハイリスク妊婦は、 妊娠、出産に対する不安や経済的な問題はあるものの、保健師の支援や福祉サービスの利用により養育は可能と判断した妊婦 としております。

 

 いずれも判断にあたっては、担当保健師を中心にケース会議を開催し、判断しております。

 課題といたしましては、特定妊婦、社会的ハイリスク妊婦ともに、統一されたリスクアセスメント判断基準が必ずしも一定ではないことと考えております。

 要 望
   課題認識としていただいたアセスメントの判断基準に関しては、病院との連携も想定し、協働して、早めの整備を要望いたします。

精神疾患が疑われる又は継続治療中の妊産婦の支援について

 医療機関との連携も必須であり、病院受診への同行や、養育支援など幅広く支援が必要です。児の養育への問題だけでなく、日常生活の支援が必要になる場合には定期的な訪問サポートが必須です。

質問3-3

精神疾患を抱える妊産婦に対して、必要な福祉サービスに繋げるために、どのような支援をしていますか?

 答弁 

(保健福祉局健康福祉部健康支援課)

 

 精神疾患を抱える妊産婦に対しては、まずは、主治医と連携し、子供の養育にあたっての支援の必要性及び支援方法等を検討しており、さらに必要に応じて医療機関や保育所等の関係機関との個別ケース会議を開催し、情報共有と支援方針や役割分担の確認を行っております。

 実際には、妊産婦本人への支援として、医療機関を受診する際の同行や、子どもの養育支援として、保育所への入所や家事援助など、福祉サービスの利用に向けた手続き等の申請に同行し、本人に代わり状況説明をする等の支援により、迅速なサービス利用に繋げております。

 要 望
  本人の状況に合わせた個別の支援連携が行われる方針であることはご答弁から理解出来ましたが、非常勤の保健師や地域の支援者等に実態を伺うと、担当する件数が多すぎて、手が回りきらない事例をいくつも伺います。
 支援がない中での養育困難が続くと困難の度合いが増してしまいます。
 早い段階で妊産婦の困難に気が付き、地域や生活支援サービスに繋げるために大事な役割を担う、訪問人材である保健師、助産師、地域保健推進員のより効果的な業務分担の検討を要望します。

 また、困難を抱える妊産婦が増加の一途をたどる今、更なる保健師の増員を強く、強く求めます。

10代など若年期、未婚等の妊娠について

スライド7
スライド7

 10代など若年期、未婚等の妊娠に対しては、より対象に特化した丁寧なケアが必要です。

 千葉市でも18歳以下の妊娠・出産についてはスライド7の通りで、学齢期となる18歳以下で妊娠が30~40件、出産も20件程度毎年あり、適切なケアができているのか気になるところです。      「ティーンズママルーム」など民間サービスの紹介をすることや、現在「女性の繋がりサポート事業で居場所提供や同行支援などを行っている民間支援団体マザーズコンフォートとの連携など、積極的に支援を行うことなど求めたいと思いますが、

質問3-4

これらの支援が必要な妊婦に対しての現状の支援内容についてお示しください。

 答弁 

(保健福祉局健康福祉部健康支援課)

 

 要保護児童対策地域協議会において、特定妊婦として支援対象に位置付けるとともに、行政関係者をはじめ、医療機関や地域の子育て支援団体等と連携を図り、支援を実施しております。
 具体的には、妊婦健診が滞ることのないよう、保健師が受診に同行したり、個々の状況に応じた妊娠・出産・育児についての保健指導を行う他、経済的な問題等については生活保護等の相談窓口につなぎ、申請手続きの支援を行っております。

 また、家族間の問題等様々な事情により自宅で過ごすことが困難な方等には、民間の支援団体とも連携し、居場所の提供などの支援にも繋げているところです。  

 10代の妊産婦が特定妊婦として位置付けられ、適切に対応されていることを確認できました。

 ご答弁にありましたように、家族内の問題やDVなどの理由から家に居られないなど、シェルター利用が必要な妊婦がいます。

質問3-5

妊婦を措置、支援できるシェルターがあるか?現状について伺います。

 答弁 

(こども未来局こども未来部こども家庭支援課)

 

 DV等による避難が必要な女性の保護として、千葉県女性サポートセンターや母子生活支援施設、民間団体と連携し、シェルターへの入所支援を行っておりますが、妊婦であっても、同様に入所支援を行っております。

 妊婦が入所した場合には、健康状態に十分に留意しつつ、シェルター、医療機関や保健福祉センターの担当課が連携し、切れ目のない、きめ細かな支援に努めているところです。   

 要 望
   国は若年妊婦等への支援に積極的な、機動力のある地域のNPOにアウトリーチやSNSによる相談支援、特定妊婦等に対する産科受診等同行支援、緊急一時的な居場所の確保など、委託して行う若年妊婦等支援事業で令和2年度より予算措置をしています。
 千葉市においても本事業をご検討戴くよう要望します。

 また、若年の母子への措置を妊娠中に協議する際には、母子一緒に保護できる方策を考えることが必要です。
 現状、母子分離で児が保護されるケースが多いように聞いていますが、今後里親やファミリーホームを活用した自立支援としての母子同時での措置など、十分な検討を求めます。

産後うつへの支援について

 産後うつは生死に関わる重要な課題です。

 その発見のためにも産後の訪問は大変重要と考えます。

 千葉市では1か月程度に保健師等によって行われる新生児訪問、地域保健推進委員による2か月児訪問、保健師や助産師による乳児全戸訪問事業がありますが、

スライド8
スライド8

 実施数はスライド8のグラフの通り、新生児訪問数は割合で計算すると70%前後で横ばい、乳幼児全戸訪問は90%代から80%代と約1割減となっています。

スライド9
スライド9

 また、千葉市における産後うつの状況はスライド9の通り14%前後でほぼ横ばいとなっていると伺っています。

質問3-6

 千葉市において産後うつの実態はどのように把握していますか?

 また、コロナ禍での訪問自粛による影響をどのようにかんがえているか、お示しください。

 答弁 

(保健福祉局保健福祉部健康支援課)

 

 産後うつについては、新生児訪問において、「エジンバラ産後うつ質問票」を用いて判断しております。本市の新生児訪問において、9点以上と判定された割合は、令和元年度の全国平均の9.8%より高い値で推移しております。

 

 なお、新生児訪問については、産後の養育状況の確認や虐待リスクの早期発見の観点から重要であることに加え、コロナ禍において里帰り出産等が困難となり、孤立感を抱える産婦も多いことから、感染対策を講じた上で、対象の産婦の意向も確認しながらできる限り実施しており、訪問利用率はコロナ禍以前とほぼ同等となっております。  

 

 産後うつが全国平均よりも高い値で推移しているとのこと。

 また、コロナ禍でも、新生児訪問の訪問利用率があまり変わらないとのことですが、問題は訪問ができていない産婦の状況です。

 エジンバラの数値を確認できている新生児訪問は全体の6割強の妊婦のみであり、すべての妊婦の産後うつの状況を確認できていません。

 

 さらに、乳児全戸訪問はコロナ以前9割以上であった訪問件数が明らかに減少しています。

 乳児全戸訪問の際にもエジンバラの産後うつ質問票を用いて確認するケースが多いと聞いておりますが、全体像が把握しきていない現状は改善が必要です。

 

 昨年度の筑波大の調査では、24%に産後うつの可能性があると報告され、それまで10%の発症だったことからリスクが倍増しているとの指摘があります。

 保健師の人手不足がここでも表れていると感じます。

 

 

病院との連携について

 産後うつについては、特に病院との連携が重要です。

 千葉市では養育上様々な困難を抱え、児童虐待リスクが高く妊娠期から継続的な支援を必要とするケースが増えたため、それまで行ってきた「未熟児等における病院との連携会議」を平成28年から「妊娠・出産包括支援看護連絡会」として病院連携を行っていると伺いました。

スライド6
スライド6

 スライド6に示したように医療機関からの支援依頼件数も年々伸びているところです。

質問3-7

  神谷市長のマニュフェストにも 『産後うつや虐待の予防につながる支援会議の実施』

と ありますが、具体的な内容と今後の取り組みスケジュールについてお示しください。

 答弁 

(保健福祉局健康福祉部健康支援課)

 

 支援会議は、産後うつ等で養育困難な方への支援について関係者間で検討する個別ケース会議を実施する中で、課題として出された新たな支援サービスの必要性や連携のあり方などを包括的に検討する場と考えており、現行の「妊娠・出産包括支援看護連絡会」を拡充して行います。
 今後のスケジュールは、令和4年度に産後うつ事例等の検証を行い、令和5年度には産科だけではなく精神科も含めた医療機関等関係機関からの情報共有と意見交換を行ってまいります。

 産後のメンタルヘルスの専門でもある精神科も交えての取り組みに今後期待をいたします。

 産後の関わる小児科との連携もご検討ください。

 

 最後に産後ケアについてです。

 

 困難になる前に様々な支援を利用してもらうことが予防に繋がります。

 生活支援のためにエンゼルヘルパー事業に、心身のサポートのために産後ケアにそれぞれつなぐなど、保健師によるサービス利用促進については大変評価しています。

スライド10
スライド10

 産後ケアは平成29年度の事業開始から徐々に認知度も広がり、スライド10の通り利用も伸びています。

 利用者負担も3割から2割と削減されるなど、必要な方へ支援が届くための制度拡充を評価しているところです。

 

さらに、

質問3-8

 家庭への訪問や泊りでのケアが難しい兄弟時のいる家庭での利用拡充のため、また4か月を超えてから産後ケアを知ったために、サービスを受けられなかったとの声から、 日帰り型の導入と利用期間の延長を1歳までとすることを求めてきましたが、検討状況についてお示しください。

 答弁 

(保健福祉局健康福祉部健康支援課)

 

 産後ケアの日帰り型については、令和2年度にアンケート調査を行っております。

 その結果、4か月児健診対象者及び施設型や訪問型を利用したことのある方の約8割が日帰り型の利用を希望しており、産後の体調回復、休息のために利用したいという回答が多くあったことから、4月からの開始に向け準備を進めております。

 利用期間の延長については、日帰り型を実施していく中で検討して参ります。

 要 望
   千葉市民にとってこれらの妊産婦支援に対する評価は大変高く、子育て世帯より支援が充実していることで千葉市を選ぶポイントにもなると伺っています。
 今後も妊娠出産からの切れ目ない支援の充実及び困難を抱えた世帯への丁寧なケアをするための人員の拡充を求めます。

 

 私の一般質問を終わります。

  ご清聴ありがとうございました。